必要な情報を必要な人へ届ける

これまで、さまざまな製薬会社の患者さんや医師に向けた動画、ウェブサイト、ホームページ、ポスター、チラシなどをつくってきました。

医療に関することは法律上言えないことが多く、本当に必要な人へ必要な情報を伝えることの難しさを痛感する日々でもありました。

そんななかで、免疫細胞が過剰に増加することで皮膚や関節に症状の出る乾癬(かんせん)の患者会「NPO法人 東京乾癬の会 P-PAT」の方々と出会い、患者会のホームページを制作させていただくことになりました。

友達や家族にも相談できない、肌を見せる機会のある出張先、スポーツ、旅行先、美容院での対応、パートナーにどのようなタイミングで打ち明けるか、会社の規則とどのように向き合うか、入浴時やお化粧はどうしているのか、シーツやタオルの選び方など、患者会だからこそ伝えられることを主軸としたホームページを作成しました。

ホームページ制作ができる余力のある患者会は全国的に見ても決して多くありません。打ち合わせのたびに元気をくださる患者会のみなさんの、それぞれが壮絶な時期を経験したからこその明るさやあたたかさを伝えるために、写真やイラストも取り入れました。

日中は会社に勤務され、仕事終わりに慣れない制作業務に全力でご協力してくださった患者会のみなさまと、患者さんの声に耳を傾け、乾癬について積極的に学び尽力してくださったクリエイターのみなさまに、この場を借りて心より感謝申し上げます。

現在は、SNSが普及したことで、以前より患者さんの声を見ることも、発信することもできる時代になっています。

乾癬と向き合い、時に落ち込みながら乾癬と共に生き、その自分たちの経験を糧に、「患者同士がつながり、悩みを打ち明けあったり、知恵を共有することは、乾癬と生きる日々の心の支えとなるはず」と、他の乾癬患者さんを勇気づけたいと活動する「東京乾癬の会 P-PAT」のみなさまのメッセージが集約されたホームページの存在はとても大きなものだと感じています。

乾癬(かんせん)とは?
乾癬は、炎症を起こす物質により皮膚の新陳代謝のサイクルが通常よりも短くなることで、皮膚だけでなく関節などにもさまざまな症状が現れる病気です。乾癬という病名から、“感染”すると誤解されることがありますが、決して人から人へうつることはありません。

難治性皮膚疾患である乾癬は、見た目にわかる症状から誤解や偏見が生じたり、別の病気と間違えて診断されてしまうケースがあったり、重症化するとうつ症状が出たりするほど、体のみならず精神的にも深いダメージがあるといわれています。

ウェブサイト「NPO法人 東京乾癬の会 P-PAT
デザイン:山口 崇多(株式会社コル
イラスト:山口洋佑
写真:波田野州平
ロゴ:三宅理子
企画・編集:森 若奈
運営:NPO法人 東京乾癬の会 P-PAT
制作:2021年3月